祝魂歌(谷川俊太郎=編)

書庫で見つけた谷川俊太郎編集の「祝魂歌」を繙いてみました。


先日カミさんの最愛の父親が亡くなりました。孫たちも大好きだったお爺ちゃん。88歳の大往生。87歳まで働き続け、最後は誰に迷惑をかけることもなく、あっさりと、苦しむことなく逝った。理想的な亡くなり方ではないか。いずれ自分もこのようにして昇天することができればと思う。


長らく忘れていましたが、しばらく「死」について考えてみようと思い立った。柄にもないことを・・・



タゴールのこの詩が気に入った。


逝く日には かく言ひて われ逝かむ−
わが見しもの 得しものは 比(たぐい)なしと
この光明(ひかり)の海に
蓮華(はちす) 輝き
その蜜を われ飲めり
これわが幸(さち)と−
逝く日には かく言ひ 告げて逝かむ
世相(よのさま)の舞台に
われ幾度か 舞ひき
両の眼を 見開き
相(すがた)なきものを見き
触れがたきかのもの
姿さながら近づきたまへり
此処にもし終わらせたまはば
時終るもよし−
逝く日には かく言ひ 告げて逝かむ

サー・ラビーンドラナート・タゴール
         (渡辺照宏訳)