脳と日本人(松岡正剛×茂木健一郎)

脳と日本人

脳と日本人

 最近出たばかりで湯気がたっている本。電車と隙間時間に読む。現在もっとも注目されている二人の賢者による対談。
 博覧強記の知の魔術師・松岡正剛ドーパミン強化回路を駆使する若き脳科学者・茂木健一郎
 話の内容はとっても難解ホークス(←旧い)。でも二人のやりとりを含めてとてもおもしろい。
 「日本という方法」を巡って、二人の話題はリゾーム状にあらゆる分野に触手を伸ばし根茎をつくっていく。万葉がな、伊勢神宮、お水取り・・・。
 うつろい、おもかげ、うつし、もどき・・・といった日本文化独自の「方法」に着目してその特異性と有効性を語る。編集という方法からすべてを見直す。
 かれらの知的創造力の原点は何か。茂木さんの原点は、クオリアという脳科学最大の謎を科学的に解明することにある。
 一方、松岡さんは、近代における国民国家が生まれたことが大きな謎だという。なるほど、そういう見方があったのか。
 それから、松岡さんの知的探求心の原点になるような話がおもしろい。小学生時代の盲目の叔父との体験、大学時代の体験。父親が死の直前にみせた退行現象。自殺未遂で植物人間になった親戚のある女性が意識を回復していく話など。