チャールズ・ベル「手」(医学書院)手 (神経心理学コレクション)作者: チャールズベル,Charles Bell,岡本保出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2005/06/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る

 医学書院のこのシリーズ「神経心理学コレクション」はなかなかおもしろい。少し高いが専門書ということでしようがないか。以前買った入来篤史「Homo faber 道具を使うサル」もよかった。
 200年も前に書かれた本。ベル自身が描いた絵がすばらしい。手を科学的(医学的)および芸術の観点の双方から考察した初めての本である。手と表情の関係についても考察されている。ベルは「人間の手は極めて美しく形つくられており、非常に繊細で、それによって動きを調節し、どんな意志にも反応するので、手自体がそうした意志の座であるかのようである。手を使っていてもそれに気づかないこと、それ自体がまさにこの道具の完成ではなかろうか。」と述べる。手は最も複雑で美しい道具であると規定し、手が意志の座であると考えたベル。この考えは僕の技術哲学とも共鳴しそう。