技術史の本の構想

 駅へと向かう武蔵野通りで、小中学生向けの技術史の本の構想。「発明の一生」で発明の種が蒔かれてから実となり、次の世代へと引き継がれていくプロセスを、具体的事例でわかりやすく解説する。意外と知られていない発明や発明家の話を数多く集める。たとえば、日本が生んだ乾電池の発明家・屋井氏の話。ワットやライト兄弟エジソン。発明が普及するための条件や異文化に導入されるプロセス。これら発明家や偉人伝に類する子供向けの児童書は数多くあるが、教訓的、道徳的苦労話のたぐいが多い。独自の視点でしかも子供たちもアッと驚くようなおもしろい本がいい。
 技術家に焦点を当てた本と発明自体の一生や展開に焦点を当てた本の2つの系列を考えること。人物に焦点をあてる方の重要なポイントは、科学者よりも技術者の方が偉い、ということだ。技術や技術家や職人の復権を、ということだ。
 たとえば、19世紀初頭にガソリン内燃機関よりも普及していた電気自動車の話。ボルタとナポレオンの話。
 また、特許をめぐる係争がいかに発明家たちの足を引っぱりエネルギーを消耗させたか、という特許制度の裏側の面を説明する。
 また、必要は発明の母というのは間違いで、むしろ新しい発明や技術が新たな必要性・人々の欲望に火をつける、ということを具体例を挙げて説明する。
 技術者や工学者は、現在の複雑系研究者よりも何百年も前にすでに複雑系を相手に日夜研究してきたということ。物理学者よりも技術者の方が先をいっていたのだ。たとえば、ワットやライト兄弟を思い出そう。
 帰りに西武リブロにて井上孝夫の「世界中の言語を楽しく学ぶ」を購入。この本は万歳だ。長い間このような本を待っていた。種田さん以来の本。言語とは生物の種のようなものではないか。一つ一つの種に味があり、おもしろさがある。民族の言語も同じ。
 私もいつかこのような本を書いてみたい。題名は「人生は短し、言語は美し」。ふつうの人間、サラリーマンが言語の美しさに魅せられ、没頭する。これを小説にできないか。絶滅する言語をめぐるスパイ小説。井上ひさしの東京セブンローズ。