桑原亮子さんの脚本がよかった。
桑原さんは脚本家であり歌人でもある。2011年1月の「歌会始の儀」の入選者10人に選出されている。
短歌の話のなかで、万葉集の「本歌取り」のエピソードはおもしろかった。
貴司が舞に送ったあの短歌だった。
「君が行く 新たな道を照らすよう 千億の星に 頼んでおいた」
なぜこれが恋の歌なのかたずねるリュー北条に、史子は本歌取りだからと答える。本歌取りとは、有名な短歌の一部を取り入れる技法のことで、オマージュのようなもの。史子は狭野茅上娘子(さののちがみのおとめ)の歌が下敷きになっていると指摘。ちなみに狭野茅上娘子は奈良時代の女官で、地方に配流された夫を思う歌が万葉集に載っている。
史子が指摘したのは次の歌だ。
「君が行く 道の長手を 繰り畳ね 焼き滅ぼさむ 天の火もがも」
リュー北条はすぐにピンときたようで、「別れざるをえなくなった夫への思いか」と言う。史子は「その和歌に詠まれた情熱的な恋心がまるで隠し切れない炎のように梅津先生の歌に見え隠れしてるんです。したがって君というのは恋の相手です」と解説する。
桑原さんは小学6年生以来の重度の聴覚障害のなか多くの作品に挑まれている。
以下は俵万智さんとのツーショット。
桑原さん、素敵なかただった…ドラマの豊かさや繊細さの秘密を、垣間見させてもらった気がする。 #舞いあがれ https://t.co/jh9lcscyME
— 俵万智 (@tawara_machi) 2023年3月31日
ちなみに、ドラマ終盤に登場する「空飛ぶクルマ」の話は、トヨタ系ベンチャー「スカイドライブ」が協力とのこと。