自転車依存症(白鳥和也)

自転車依存症

自転車依存症

 電車の行き帰りで読む。白鳥和也氏は1960年静岡生まれ。自転車と文学のクロスオーバーを狙う。この狙いはうまくいっている。
 どうして自転車乗りはユーモア感覚にすぐれているのだろうか。伊藤礼氏の「こぐこぐ自転車」もしかり。等身大のユーモア。徐々に自転車の数が増えていく自転車愛好家の心理を描いた部分は思わずニヤリ。
 自転車は地上でもっとも効率のよい乗り物であること。特にスポーツサイクルは、体力や筋力を浪費する乗り物であるどころか、反対にその人の持てる身体的能力を増幅し、拡張してくれる素晴らしい装置、しかも燃料も電気も餌も必要としない。
 白鳥和也氏の他の著作も読みたくなる。