水素エコノミー(リフキン)

水素エコノミー―エネルギー・ウェブの時代

水素エコノミー―エネルギー・ウェブの時代

第8章から俄然おもしろくなる。水素エネルギー・ウェブ(HEW)の構想にはドキドキする。インターネット・ウェブが短期間に飛躍的に進歩したように、HEW(水素エネルギー・ウェブ)がこれから短期間のスパンで構築されるであろう、というのがリフキンの予想。 だれでも、どこでも世界中の情報にアクセスできるWWW情報網が構築されつつあるように、だれでも、どこでも必要なエネルギーに容易にアクセスできる時代がきっとくるであろう。この新エネルギー網が人類文明史上最大の産業革命を起こすであろう。特定の会社、特定の政府、特定の権力者がエネルギーを一局集中的に支配する時代が終わる。
 そのキーとなる技術が、水素燃料電池。人類史上もっともクリーンで静かなエネルギー源。
 燃料電池は水素を使う。水素はどこから調達するか。これがネックだとずっと思っていた。しかし、分散型の自然エネルギーを活用することでこれが解決できるのだ。風力や水力(水車)などの小規模かつ分散的な自然エネルギーから発電された電気エネルギーによって水を電気分解して水素をほぼ無尽蔵に製造することができるからだ。そのための分散型エネルギー網のインフラの構築がうまくいけば、電気という保存・蓄積ができないエネルギーを蓄積可能の水素エネルギーに変換できる。
 ところで、日本のように山が多く、水流がふんだんに存在する国は、小型水力発電を有効利用することが重要だと思う。これは竹村公太郎さんの本(「日本文明の謎を解く」)でも提唱されていた。
 WWWとHEWがこれからの時代のキーとなるか。