科学史学校

 上野の科学博物館にて科学史学校の例会。橋本先生の「田中久重の万年時計−その技術的特徴と歴史的背景」を聴講。1851年に作製された田中久重の万年時計は江戸時代を超えていた。驚くべき技術の集積。1872年のウイーン万博に出展依頼があったらしいが、船便の関係で断念した経緯。
 田中久重は現在の東芝創始者。20代でカラクリ師として独立し生計を立てながらモノづくりを続ける。「無尽燈」の発明が大ヒットし、日本中にこのランプが普及。これで儲けた資金を万年時計の研究にも充当する。さらに、京都の土御門気で天文学や暦の勉強。知識と技術を合体させる。さらに、西洋の洋時計と日本の太陰暦や24節季と中国の天象儀をコンパクトに合体させてこの万年時計を完成させた。
 内部に強力な黄銅製のゼンマイが4個内蔵。1回巻けば200日動き続けたらしい。歯車はすべて手作りで、使用された部品の数は1000以上。
 日本のモノづくりの突出した成果。