古池に蛙は飛びこんだか

古池に蛙は飛びこんだか

古池に蛙は飛びこんだか

 この本はホントにいい。芭蕉ってほんとにすごい俳人だったんだとあらためて納得。著者の長谷川櫂さんは「俳句的生活」(中公新書)以来注目していた。昭和29年2月熊本県生まれ、ということは学年は僕と同じかも。でも東大法学部出身の秀才であるところが大きな違い(+_+;)\パコッ!
 文章が明確で無駄がなく、しかもメリハリがあってわかりやすい。濃い内容をとても読みやすく書かれているので電車の行き帰りで読める。
 さて、貞享三年(1686年)の春のある日に深川の芭蕉庵で催された句会でよんだあまりにも有名な句。
     古池や蛙飛びこむ水のおと
 この俳句の誕生以来300年間、この句の解釈は実は誤解されていた!
 いったいどのように誤解されていたのか。
 正岡子規高浜虚子を含めて古来この句は「古池にカエルが飛びこんで水の音がした」と解され「自然に閑寂な境地をうち開いている」(山本健吉)といわれていた。
 誰でもそう思っていた。僕もそう思っていた。しかし、長谷川櫂さんは、そうではない、という。古池に蛙は飛びこんでなどいないという。このミステリーを読み解くことによって、芭蕉がなした革命的な作業があらわになる。