島泰三「はだかの起原」再読

 午後、島泰三を読み直す。一つの原生人類の起源ストーリーが浮かび上がる。裸化と咽頭降下の突然変異が同時に生じた。これは霊長目232種のうち、ヒト科一属一種にのみ生じた。これは稀な突然変異であった。完全水中生活動物と巨大哺乳類を除くと、裸の哺乳類の例は非常に稀である。中小型の陸棲哺乳類は数千種に達するが、毛皮を失った裸の種は極めて少ない。イノシシ科五属九種から一種(バビルーサ)、デバネズミ科五属八種から一種(ハダカデバネズミ)、オヒキコウモリ科16属86種から一種(ハダカオヒキコウモリ)、ヒト科一属一種(霊長目232種のうち原生人類1種のみ)。
 裸化と咽頭降下は音声毛づくろいを促進させた。音声コミュニケーションを介する社会システムの生成。(ところで、これと家族と群の形成の関係はどのようなものか。)さらに、心システムの分化による自己意識の誕生。(これは次の課題)