『日米開戦 陸軍の勝算』(林千勝)

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『日米開戦 陸軍の勝算』(林千勝)



林千勝氏のこの本を読了。
目から鱗のすばらしい著書。
800円だけど8万円の価値がある。

この一冊だけで林千勝ファンになってしまいました。

キーワードは「秋丸機関」。


この本は、自ら資料探索し研究した当時の陸軍の一次資料に基づくすぐれた成果(一次資料であることが超重要!)。前代未聞の研究であり、誰も反論できない筈。

当時の最高の頭脳集団(シンクタンク・秋丸機関)による科学的・経済学的・合理的判断に基づいて大東亜戦争の開戦に至った陸軍の真意が綴られている。

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70年間日本人は、陸軍悪玉論にずっとだまされていた。(司馬遼太郎史観にも騙されていた。)

アメリカはネイティブアメリカン達の土地を手始めに西へどんどん侵略を進め、ハワイ、グアム、フィリピンを手に入れ、さらに日本に狙いを定めていた。昭和16年にはアメリカによる石油禁輸を含む経済封鎖が始まった。

日本民族の生き残りをかけた自衛のための戦争。
西欧列強による植民地支配状態だった東アジアの独立開放のための戦争。

だから、「大東亜戦争」と呼ばれていたのです。

ここで重要なことは、当初、陸軍の中にはアメリカを相手に戦争を始めることは想定されていなかった。(これを破ってしまったのが山本五十六と海軍。)

当時アメリカは厭戦ムードでありルーズベルト反戦を公約にして選挙に勝っている。だから日本に戦争を仕掛けることはできなかった。

つまり、主戦場を太平洋にする「太平洋戦争」はもともと想定されていなかった。まずはインドから英国への海上輸送を遮断して英国軍を屈服させること。インドを支配略奪している英国をやっつけてインドを独立させる。主戦場は太平洋ではなくインド洋。来たる戦争は、インド洋戦争だった。

太平洋側ではなく西側への攻略。アジアを侵略しまくっていた英国への戦略。これはうまくいっていた。実際、チャーチルもビビッていた。

しかし、この十分勝ち目のある計画(大東亜戦争)を山本五十六がムチャクチャにしてしまった。

そして、大東亜戦争は太平洋戦争に変質し、東アジアの独立開放という側面も歴史から抹殺されてしまった。

山本五十六によるハワイ真珠湾攻撃がなければ、陸軍(秋丸機関)の報告書通り日本は勝っていただろう。(当時の陸軍長官ヘンリー・スティムソンも同様のことを回顧録で書いている。)

では、なぜそんな馬鹿な予定外の絶対やるべきではなかった真珠湾攻撃と日米戦争に走っちゃったのか?

それは、林千勝氏の次の著作で暴かれている。
●「近衛文麿 野望と挫折」
●「日米戦争を策謀したのは誰だ! ロックフェラー、ルーズベルト近衛文麿 そしてフーバーは」

そして、実は、これと同じようなパターンが200年前から現在只今まで続いているということ!



■負けはしない戦争だった!  七十年前のあの戦争は、本当に無計画で非合理なものだったのか。開戦を決意した陸軍は無謀にも、勝算のない戦いに、やみくもに突入したのか。  そんなはずはない。 近代史を研究する著者は「陸軍戦争経済研究班」の報告書を詳細に調査し、少なくとも陸軍は、科学性と合理性に基づいて開戦に踏み切ったことを知る。  秋丸機関と呼ばれた研究班は、第一級の英才を動員し、英米の経済力を徹底研究。  報告書に基づいて策定された戦争戦略は、大本営政府連絡会議に上げられたのだった。  報告書の真相は戦後、意図的に歪曲化(わいきょくか)され、闇に葬られた。そこには何が書かれていたのか。報告書の真の意図を探り、戦後の常識に一石を投じる驚愕(きょうがく)の研究書!■

以下、いくつか林千勝氏の動画を挙げておきます。

■林千勝執筆!歴史の真実を伝える3冊!【CGS 神谷宗幣 林千勝 第189-2回】
34,165 回視聴•2021/03/08
https://www.youtube.com/watch?v=s__7pRcJurE
www.youtube.com


■林 千勝・講演会【日米開戦・陸軍の勝算!日本の勝算と敗北ー現代への教訓】広島原爆の日
51,850 回視聴•2017/08/07
https://www.youtube.com/watch?v=fVUFNGm_Qv0
www.youtube.com


■【復刻版】<歴史・公民>新東京塾 第3回 近衛文麿にみる大日本帝国敗北の教訓 林千勝 2017/6/25
28,778 回視聴•2019/01/17
https://www.youtube.com/watch?v=Rz0vGUzsu8A
www.youtube.com




■#1 林千勝先生講演「日本の勝算と敗北 - 現代への教訓 – 近衛文麿の野望と挫折 」
111,218 回視聴•2018/02/02
https://www.youtube.com/watch?v=yQKdjoLZxQ0
www.youtube.com

■#2 林千勝先生講演「日本の勝算と敗北 - 現代への教訓 – 近衛文麿の野望と挫折 」
68,781 回視聴•2018/02/03
https://www.youtube.com/watch?v=-DXJpXr-T38
www.youtube.com


■#3 林千勝先生講演「日本の勝算と敗北 - 現代への教訓 – 近衛文麿の野望と挫折 」
39,768 回視聴•2018/02/04
www.youtube.com

近衛文麿 野望と挫折」出版記念講演
今回は昭和史最大のミステリーの一つ、日米開戦の裏幕から近衛文麿の実像まで、公的に裏付けされた所謂秘話が色々と聞けます。
日本会議中野支部主催

現代史を覆す、決定的真実に迫る!
渾身のノンフィクション大作 一挙書き下ろし770枚!!

近衛は自殺したのではない! 実は謀殺だった!?
近衛は、単なるポピュリストに非ず!
用意周到に己の野望を実現するための布石を着々と打っていた──

近衛は、首相時代は赤色分子(風見章・尾崎秀実ほか)を重用し、「敗戦革命」を夢見つつ、戦争末期には近衛上奏文(反共宣言)でアリバイ工作。
そして戦後はいち早くマッカーサー詣でをして、自ら改憲の音頭をとり、あわよくば昭和天皇を退位させて親米政権を樹立しようとしました。
勢力均衡の中で生き抜いてきた公家の名家としてのDNAをフル回転しての巧みな遊泳術ともいえます。
あと一歩で、その目論見が成就する寸前、それに危機感を抱き、挫折させようとした勢力がありました。
彼らは、近衛を東京裁判の被告人の席に追いやり、そして永遠に葬ろうとし、実現するのです。
近衛を葬ったのは誰だったのか?
そうした知られざる近衛の全生涯を、「自殺」とされる謎にまで踏み込みつつ、描ききったのが本作品です。

──彼は、極めて自己本位的に利用できるものは、昭和天皇でもコミュニストでも自分の子供(文隆)でも見境なく利用しました。
青酸カリを使っての「自殺」とされている彼の荻外荘での最期の日々の数々の矛盾や不可解な行動も本書で解き明かしていきます。
こういう叙述で、近衛の生涯を追求したノンフィクション作品は、初めての試みといっていいかもしれません……(「はじめに」より)。

内容(「BOOK」データベースより)
昭和天皇、陸軍、尾崎秀実、東条英機らを操り、敗戦革命を計画。戦後、一転してマッカーサーに取り入り、天皇退位を画策。復権を試みた近衛だが、彼のシナリオは思わぬところで破綻した。

■【林 千勝】日米戦争を策謀したのは誰だ!【WiLL増刊号 #016】
93,674 回視聴•2019/02/2
https://www.youtube.com/watch?v=BooWecBvfjY
www.youtube.com

新刊『日米戦争を策謀したのは誰だ!』を上梓された近現代史研究家の林千勝さんが登場!
平和を企んだ「好戦家・ルーズベルト」と「国際金融資本家・ロックフェラー」、さらに国際共産主義の策動…
そして、彼らと対峙した「非戦派・フーバー」、「ピエロ・近衛文麿」はなぜ破れたのか。

前作『近衛文麿 野望と挫折』に続く渾身のノンフィクション作品です。


<書籍『日米戦争を策謀したのは誰だ!』の詳細はこちら>
http://web-wac.co.jp/book/tankoubon/1471

<書籍『近衛文麿 野望と挫折』の詳細はこちら>
http://web-wac.co.jp/book/tankoubon/1307


■戦争は「経済」 林千勝先生に「秋丸機関」について教わったよ [三橋TV第304回] 三橋貴明・林千勝・高家望愛
61,398 回視聴•2020/10/21
https://www.youtube.com/watch?v=ORdXNoDfg4Q
www.youtube.com

英米合作経済抗戦力調査 奪われた勝利への道 [三橋TV第305回] 三橋貴明・林千勝・高家望愛
59,698 回視聴•2020/10/23
https://www.youtube.com/watch?v=L8UwW8gQmA8
www.youtube.com




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