池井戸潤の『陸王』(つづき)

池井戸潤の『陸王』のモデルとなった「ランニング足袋」があるようです。

これ↓がそれ。

この「無敵」という「ランニング足袋」を製造しているのは、「きねや足袋」という会社。「こはぜ屋」と同じく行田市にあります。(池井戸潤はこのメイカーを取材したとのこと。)


●きねや足袋
http://www.kineyatabi.co.jp/

ランニング足袋「MUTEKI」とは?

ランニング足袋MUTEKIは伝統的な製法で仕上げた足袋そのものに、柔らかくグリップ力の高い薄さ5mmの天然ゴムソールを手縫いで縫い付けた新しいタイプの履物です。従来の足袋型シューズやつま先の割れたデザインのシューズとは異なり(その他ランニングシューズも含む)、ソールにクッション等の保護材は一切使用せず、限りなく素足感覚に近づけました。MUTEKIを履いて走ると自然とつま先から着地するような感じになる為、人間本来の走り方を取り戻すツールの1つになります。
また、ソールの削れ具合や地面をとらえる際の足の感覚により、ご自身の体重移動を把握することで、無理のない範囲で走り方の改善をサポートします。

もともと埼玉県行田市は、江戸時代からの足袋のまちとして有名だったのですね。


さらに、『陸王』のなかでビブラム社の「ファイブフィンガーズ」という地下足袋のようなランニングシューズの話が出てきますが、これも実在の商品です。

●Vibram Five Fingers
https://www.barefootinc.jp/five-fingers

足の五本指がそのままシューズになっていて、はだし感覚で走れるので、一度これを履いて走るとやみつきなるそうです。



「無敵」にしても「ファイブフィンガーズ」にしても、人類の本来の走りである「裸足感覚」を生むシューズなんですね。

普通のランニングシューズは、踵(かかと)部分にクッションが入って分厚くなっている。一見心地よい感触ですが、これで走ると、踵から着地してつま先で蹴る走り方になってしまう。これを「ヒール着地」という。

しかし、ヒール着地は、ランナー膝とよばれる靭帯炎といった故障を引き起こすという問題がある。

シューズの構造によって、ヒール着地という不自然な走り方になってしまって、故障が誘発されるってわけだ。


アフリカのランナーや日本の一流選手は、足の中央部で着地するミッドフット着地や、さらにもっと足先で着地するフォアフット着地で走っているらしい。

ミッドフット着地やフォアフット着地こそが人間本来の走りであり、この自然な走法を促すシューズが、裸足感覚を重視する「無敵」や「ファイブフィンガーズ」なのです。

陸王』のなかでランニングインストラクターとして登場する有村氏の見解によると、50万年前には数多くのヒト属が生息していたなかで、現生人類であるホモ・サピエンスだけが進化の過程で生き残った理由は、この長時間、故障なく走ることができる走法を獲得したことと関係しているらしい。(40頁)


人類は、正しい走法技術を身につけることによって進化した。

とても興味深い。