改憲勢力が3分の2を超えた

今回の選挙の結果、改憲勢力参院議席総数の3分の2を超えてしまった。

今回の選挙では、18歳以上の高校生や大学生たちの自民党への投票が40%を超えたと報道されているが、彼ら彼女たちは、憲法9条を変えられたら、自分たちが真っ先に戦場に行かなければならないことを理解しているのだろうか?

それとも自公の巧妙な争点隠しに騙されたのか。



以下の内田樹氏の記事が、これからの状況を簡潔にまとめている。

内田樹(うちだ・たつる)は、日本の哲学研究者、コラムニスト、思想家、倫理学者、武道家、翻訳家、神戸女学院大学名誉教授。京都精華大学人文学部客員教授東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。学位は修士

●「赤旗日曜版」の参院選インタビュー
http://blog.tatsuru.com/2016/07/09_0856.php
先週の赤旗日曜版インタビューを再録しておく。
 
参院選の最大の争点は改憲です。与党は争点を隠していますが、これは自民党改憲草案が参院選の議論の場で議論され、有権者の眼にさらされることを忌避するためです。あれを読んだら、自民党支持層の相当数が拒否反応を起こすことを与党は知っている。だから争点にしないで、選挙が終わってから「信認を得た」と言っていきなり最優先の政治課題に掲げる。そういう策略です。

安倍政権の次のねらいは自衛隊の海外派兵だと思います。治安の悪い地域で自衛隊員が死傷すれば「彼らの死を犬死にしてよいのか」という感情的な言葉がメディアを覆い尽くし、国民的規模で好戦的な気運が高まる。そういう事態を回避するためにも、何としても戦争法案を廃案に持ち込まなければならないと思います。

共産党は今回野党共闘を牽引しています。綱領的立場の違う政党同士でも、政策の一部が一致すれば一時的に共闘できることは民主主義の最もすぐれた点です。これを「野合」と否定する自民党ははしなくも彼らが理想とする体制が「全国民があらゆる政策で一致している状態」であることを露呈させました。国民全員が同じ顔つき、同じ口ぶりで、同じ政治的信条を棒読みするような全体主義的「ディストピア」を政治体制の理想と見なすような人々が政権の座にあり続けていることにこそ僕は深い恐怖を感じています。