先日、ストレス解消法のひとつとして「泣くことの効用」について紹介しました。
●泣くことの効用
http://d.hatena.ne.jp/gyou/20141207
今日は、究極のストレス解消法として最近注目されている「マインドフルネス」についてメモしておきたい。
最近、このマインドフルネスが、インテルやグーグルなどの企業に社員研修として導入されて話題になっている。社員のストレスを解消することが企業にとっても重要だということなのでしょう。
日本マインドフルネス学会は、マインドフルネスをズバリ、次のように定義している。
本学会では、マインドフルネスを、“今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、 評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること” と定義する。
なお、“観る”は、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれらによって生じる心の働きをも観る、という意味である。
http://mindfulness.jp.net/
なんだかよくわからない(・。・)ぷっ♪
現代人は老若男女を問わず、日常の雑務とストレスまみれのなかで、心ここにあらず、といった惰性の中で生活している人が多いのではないでしょうか。
過去の嫌な記憶を思い出しては後悔と自己嫌悪に陥り、明日の仕事や職場の人間関係、そして将来の漠然とした不安を思っては落ち込んでしまう。
うわの空のなかで気が付いた時には思考は過去と未来のことで心配ばかり。
無意識的に引きずり込まれる思考を「自動思考」という。
雑念に翻弄されたネガティブな自動思考の悪循環。
このネガティブな自動思考が、身体に持続的なストレスを与えて、病気や体調不良を生み出すことになるのですね。
まさに病は気から。
既にいま存在しなくなってしまった「過去」や未だ存在していない「未来」のことについてクヨクヨ心配している状態。「いまここ」に生きていない状態。
このような状態は、人間のみがつくりだす状況であって、動物たちにはないものです。動物たちは、「いまここ」に生きているので、過去や未来のことに思い悩んだりすることはない。
これは現生人類が獲得した「ことば」のはたらきによって生み出される幻想の一種であり、この幻想から目覚めることによって人間は悟りを得る。
そこで「マインドフルネス」。マインドフルネスとは、意識的に現在の瞬間に、そして瞬間瞬間に展開する体験に判断を加えず注意を払うということ。この逆がマインドレスネス。自動思考に翻弄されている状態(現代人のほとんどがこの状態)。
1979年にジョン・カバットジンによりマサチューセッツ大学医学部にストレス低減プログラムとして創始された瞑想とヨーガを基本とした治療法。慢性疼痛、心身症、摂食障害、不安障害、感情障害などが対象となる。ジョン・カバットジンは鈴木大拙の禅に影響を受け、仏教を宗教としてではなく人間の悩みを解決するための精神科学としてとらえ、医療に取り入れた。その基本的考えは、煩悩からの解脱と静謐な心を求める座禅に軌を一にしている。マインドフルネスの語義は”注意を集中する”である。一瞬一瞬の呼吸や体感に意識を集中し、”ただ存在すること”を実践し、”今に生きる”ことのトレーニングを実践する。これにより自己受容、的確な判断、およびセルフコントロールが可能となる。マインドフルネスは認知行動療法に取り入れられ脚光を浴びるようになった。しかし、認知行動療法は認知の変容を目指すのに対して、マインドフルネスは認知のとらわれからの解放を誘導する。
つまり、マインドフルネスとは、今から2600年前にブッダ釈迦牟尼が開発した瞑想法であって、人々を苦悩から解放するための究極のメソッドだったのです。
ブッダって、あのブッダだったのですね!
●映画『BUDDHA2 手塚治虫のブッダ-終わりなき旅-』カンヌ国際映画祭用特別映像
https://www.youtube.com/watch?v=U0fjCreDCLs#t=166
世界的に有名かつ注目されている禅マスターであるティク・ナット・ハンがグーグルの社員にマインドフルネスの指導をしている動画がありました。雰囲気は伝わると思います。
●『100%今を味わう生き方』〜歩く瞑想:ティク・ナット・ハン
https://www.youtube.com/watch?v=zBbszZH_Jos
●ティク・ナット・ハン〜『涅槃(ニルヴァーナ)、自由への道』
https://www.youtube.com/watch?v=8iVtXoVccDk
ティク・ナット・ハン(Thich Nhat Hanh 釈一行、1926年10月11日 - )はベトナム出身の禅僧・平和運動家・詩人。
ダライ・ラマ14世と並んで、20世紀から21世紀にかけて平和活動に従事する代表的な仏教者であり、行動する仏教または社会参画仏教(Engaged Buddhism)の命名者でもある。アメリカとフランスを中心に仏教およびマインドフルネスの普及活動を行なっている。1926年にフエに誕生。1942年に、同地の慈孝寺にて出家。
ベトナム戦争中は、戦禍をくぐりながら、どちらの側にも立たず、非暴力に徹した社会活動を推進し、「社会奉仕青年学校」などの学校や病院を設立し、孤児たちの社会的支援や、死体の回収などを行なった。
また1966年に渡米してベトナム戦争の終結を強く訴え、詩や著作を通してアメリカ社会に禅を根付かせるのに貢献した。その思想は、キング牧師に深い影響を与えた。キング牧師の推薦により、1967年度のノーベル平和賞の候補となる。1973年のパリ平和会議ではベトナム仏教徒主席代表を務めた。1982年に南フランスにプラム・ヴィレッジ(Plum Village Midnfulness Practice Center)を設立。社会的活動を継続するとともに、その教えにひかれて集まる多くの人々への瞑想指導を始める。彼の精神的指導のもと、プラム・ヴィレッジは小規模な地方の農場から、西洋で最も大きく活動的な仏教僧院へと成長した。2003年、2011年には、アメリカの連邦議会にて瞑想を指導。2006年にはパリのユネスコ本部で、暴力、戦争、地球温暖化の悪循環を解消するための具体的手段を要請する演説を行う。2007年、ハノイにてユネスコ主催の国際ウェーサカ祭に基調講演者として招かれる。2008年10月、インド国会にて開会の辞を述べる。2009年、メルボルンの万国宗教会議で講演。2012年、ウェストミンスターの英国議会及びストーモントの北アイルランド議会に招かれ、慈悲と非暴力のメッセージを伝えた。2011年、カリノフォルニアのGoogle本社で1日マインドフルネスによるリトリートの指導を行う。