なぜ科学者たちは、再現実験に長期間誰も成功しなかったクローン羊ドリーや若山氏のクローンマウスの事例を教えようとしなかったのか?


STAP細胞捏造決めつけ報道のひとつの根拠として、世界中の研究者が再現しようとして誰も成功していないことがあります。


再現実験がうまくいかない→捏造じゃないか?

という漠然とした思いこみがあるのではないでしょうか。

しかし、生物系科学論文の7割くらいは再現不能だという話もある。

超がつくほどの複雑系である生物相手の再現実験は、それこそチョーむずかしい。これが現実。


たとえば、クローン羊として有名なドリーは、発表から1年半の間誰も再現実験に成功しなかったらしい。だから、ネイチャーに論文が出た後、捏造だと疑われた。

クローン羊のドリーちゃん(剥製)



さらに、若山氏によって実現したクローンマウス。


●類いまれなテクニックを生かしクローン研究で世界を驚かせてきた
絶滅動物の復活に夢を馳せる

 世界初の体細胞クローン動物ヒツジの「ドリー」誕生が発表された8カ月後の1997年10月。米ハワイ大学で,哺乳類としては2例目となる体細胞クローン動物が生まれた。ヒツジよりもはるかに難しいとされたクローンマウス。その生みの親が若山照彦だ。当時1%に満たなかったクローン技術の成功率は今や10%近くに向上し,16年間凍結保存されていたマウスの死骸からもクローンを誕生させた。難しい課題を次々と克服する手腕は,研究者仲間から「ゴッドハンド(神の手)」と評される。
http://www.nikkei-science.com/201104_010.html


クローン羊より難しい若山クローンマウスの再現も困難を極めた。世界中のクローン研究者が失敗した。捏造を疑う人もいた。だから、若山氏は捏造疑惑を晴らすために、国内のみならず外国の研究現場に赴き、その場で再現することによってやっと理解されたらしい。

それくらい第三者が再現することは難しいのです。

2014年2月27日付けの以下の若山氏に対するインタビュー記事によると、若山氏自身のクローンマウスでさえ、彼がラボを引っ越ししたあと再現できなくなってしまい、再度成功するのに半年かかったと告白しています。

自分自身の技術でさえそうなのですから、ましてや第三者の技術の再現実験が困難を極めるのは当然です。


●Interview with Dr. Teru Wakayama on STAP stem cells
http://www.ipscell.com/2014/02/interview-with-dr-teru-wakayama-on-stap-stem-cells/


ところで、クローン羊ドリーや若山クローンマウスの再現が長期間成功しなかったことについては、以下のブログ記事で初めて知りました。小保方STAPバッシング事件をテーマにするこのブログは秀逸です!

●科学者たちは、なぜクローン羊ドリーや若山氏のクローンマウスの再現事例を教えようとしないのか?―再現実験に長期間誰も成功しなかった・・・
http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/15596433.html

この秀逸ブログは小保方バッシング渦中の4月頃から始まっています。すべての記事をプリントアウトして精読することをおすすめしたい(膨大な量ですが)。特に、STAP論文に「不正=捏造や改竄」があったことを既定事実であるかのように思っている人、STAP細胞自体が捏造であると考えている人、その他STAPバッシング事件に興味のある人もない人も必読です。(このブログ主は、文学に造詣が深く、しかもしっかりとしたリーガルマインドをお持ちの法律関係の専門家ではないかと推測します。)



9月26日付けの以下の記事では、テーマ別に分類されていますので参照しやすくなっています。深謝。

●2014年4月以降のSTAP細胞関係記事一覧―テーマ別分類(2014年9月末現在)
http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/15876586.html