「STAP細胞が存在することを示す証拠はなかった」若山照彦山梨大教授



記者会見で質問に答える若山照彦山梨大教授=16日午後、甲府市の山梨大


●別マウスで作製、「STAP証拠ない」 若山教授会見
2014.6.16 19:16(産経ニュース)

 新型万能細胞とされる「STAP(スタップ)細胞」の論文共著者の若山照彦山梨大教授(47)は16日、理化学研究所小保方晴子・研究ユニットリーダー(30)が作製したSTAP細胞から培養した細胞の解析結果を公表し、「STAP細胞が存在することを示す証拠はなかった」と発表した。

 解析したのはSTAP細胞に増殖能力を持たせた幹細胞。若山氏が凍結保存していたものを第三者機関に依頼して解析した。

 小保方氏が論文で使った幹細胞8株は、紫外線を当てると光る緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子を18番目の染色体に組み込んだマウスを若山氏が小保方氏に渡し、作製したSTAP細胞から培養された。

 この幹細胞を解析した結果、8株の全てでGFP遺伝子は15番目の染色体に組み込まれており、若山氏が提供したマウス由来ではなく、論文の記述と矛盾することが明らかになった。

 また、別の幹細胞2株でも、若山氏が小保方氏に提供したものと異なる種類のマウスから作られたことが改めて確認されるなど、論文に使った全ての幹細胞に不自然な点が見つかった。理研も同様の解析を行い、同じ結果を得ている。

 若山氏は解析結果について「STAP細胞が絶対にないとは言い切れないが、全ては細胞の存在を否定する結果だった」と述べ、共著者として初めて存在を疑問視。実際は別の万能細胞の胚性幹細胞(ES細胞)だった可能性については「ES細胞なら説明しやすいが、結論は出ていない」と述べるにとどめた。

 若山氏は「小保方氏の実験ノートを見なかった。ずさんな管理に気づかなければならなかったが、優れた研究者と認識していた小保方氏に見せなさいとはいえなかった。反省している」と話した。

■菅野純夫東大教授(ゲノム医科学)の話「STAP細胞は若山教授の研究室のマウスを使って作製したとしていたが、それを否定する結果だ。厳密な意味での科学的証明はまだないが、STAP細胞の存在の可能性はかなり低くなっていると思う。10株のSTAP幹細胞については、何か別の細胞に置き換えられていた可能性が高い。マウスの胎児が作製できたことから、胚性幹細胞(ES細胞)のような万能性を持った別の細胞であることが推定される」