組紐技術を活用した人工筋肉

先日の朝のニュースで放送されていた組紐(くみひも)の伝統技術を活用した人工筋肉に注目。



この細い繊維状のものが今回開発された人工筋肉。



倉敷市の従業員30人の町工場の組紐技術が人工筋肉の開発の決め手になった。岡山大学との共同研究。

組紐の伝統技術を使うことによって世界で最も細い(0.8ミリ)人工筋肉が実現した。すばらしい。


(NHK総合[おはよう日本])
「人工筋肉」開発に伝統技術を
介護用の器具やリハビリ器具などの機能を高める最先端の技術として、人工筋肉が注目されている。
人工筋肉開発に地場産業に伝わるノウハウを活用し、岡山県の町工場が挑戦している。
岡山大学では人工筋肉の開発が進められている。
町工場・鹿島唐琴は人工筋肉の開発に協力。
工場では組みひもを製造してるが、この組みひも作りのノウハウが開発に役立った。
社長の清板祝士は「昔からの技術で最先端のものが出来るのが楽しい」と話す。
岡山大学岡山市北区)、児島唐琴(岡山・倉敷)の映像。


組紐の伸び縮みする性質が筋肉の伸び縮みに似ているところに着目したところがおもしろい。


もともと空気圧を使った人工筋肉は、1950年代後半にアメリカで開発され、すでに世界中で研究が進められ介護や医療の分野で実用化が始まっているが、今回開発された人工筋肉は世界最細の0.8ミリ。組紐技術を利用することによってこれが実現できたところが画期的。

この画期的細さのゆえに、薄くて着やすい装着型の介護用の服、内視鏡カテーテルなどの医療器具への適用が期待されている。微細技術の開発にかけてはやはり日本人が世界一。


ただし、開発は苦労の連続。組紐を組む角度や繊維の本数によって伸び率が変化する。伸び率が少し違うだけで筋肉のストローク(伸縮長さ)が変わる。何度も失敗を繰り返し、試した数は600通りだったとか。

普通なら100回やってダメだったらあきらめるところだ。しかしこの清板祝士社長(60歳)はあきらめなかった!


特許出願されていると放送されていましたが、特許庁のサイトで「発明者:清板祝士」で検索してもヒットしないところをみると、未だ公開公報は出ていないと思われます。




ところで、組紐(braid)技術は日本だけではなく世界中に分布している。日本の縄文時代アンデスの古代技術にも組紐があった。女の子の髪の毛を三つ編みにするのも組紐技術の一種ですね。



組紐については、以前、炭素繊維への応用について触れたことがありました。

組紐技術と炭素繊維
http://d.hatena.ne.jp/gyou/20100814/p1



【参照】
●おかビズ!「町工場が人工筋肉開発」 2014年4月30日(水)放送
http://www.nhk.or.jp/okayama-mogitate-blog/700/187287.html