米国の呆れた「人道主義」

陽光堂主人さんのこの↓見解に一言一句同意します。


●米国の呆れた「人道主義
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 東京新聞には、元外務省主任分析官・佐藤優氏による「本音のコラム」が掲載されています。本日付のコラムのタイトルは「人道主義」で、東京に短期出張している某情報大国の元対外インテリジェンス機関幹部の話が掲載されています。

 この幹部は、元CIA職員エドワード・スノーデン氏の今後について次のように予測しています。

 「米国はスノーデンの裏切りを絶対に許さない。スノーデンは恐らく中南米に亡命するであろうが、少し時間をかけてCIAはスノーデンを拉致し、米国に連れ戻す」

 米国は北朝鮮と同じで、他国に勝手に押し入り、拉致するという国家主権無視を平気で行います。パパブッシュは、米軍をパナマへ派遣し、ノリエガ将軍を拉致し去っています。麻薬の配分を巡ってのトラブルで、ご立派な振る舞いに言葉もありません。

 こうした無法国家ですから、米国はスノーデン氏を許すことはないでしょう。そしてその後どうなるか?

「公開の裁判にかけ、国の裏切り者を徹底的に断罪する。判決は禁錮200年だ。200年だと長すぎて非人道的なので199年になるかもしれない。いずれにせよスノーデンは一生、刑務所から出ることができない」

 200年だろうが199年だろうが、非人道的であることに変わりはないと思うのですが…。些か子供じみていますが、問題はこの後です。件の幹部はこう続けたそうです。

 「佐藤さん、米国は人道主義の国だ。何事もオープンに行うことを考える。スノーデンは、NSA(米国家安全保障局)の契約社員としてシギント(通信、電磁波などの信号を媒介としたインテリジェンス活動)に従事しているうちに、国家がなくても人類は生きていくことができるというアナーキズム思想を抱くに至った。裏切りの原因となったこの思想を公開の場で裁かなくてはならない」

 「某情報大国」とは米国のことだったわけですが、この幹部は精神を病んでいるとしか思えません。まともな人間は諜報活動には向きませんから、当然ですが…。普通は、スノーデン氏のようになってしまいます。

 「米国は人道主義の国」と言っていますが、呆れたものです。自国民や他国の情報を盗み見るのは犯罪行為です。自国の法律には違反していないと正当化していますが、テロ関係の情報収集に限定しているという証拠はどこにもありません。日頃の行いが悪すぎますから、米国政府の言うことなど信じられません。

 犯罪行為を告発する者の思想を公開の場で裁くという発想は恐ろしいもので、これが米国の「人道主義」の正体なのです。ジョージ・オーウェルの反ユートピア小説『1984年』に出て来る「ニュースピーク」そのものです。「ニュースピーク」は抑圧体制を正当化する捻じ曲げられた言語で、現実世界でもよく見られます。

 スノーデン氏が「アナーキズム思想を抱いた」というのは勝手な解釈で、彼は米国による犯罪を座視し得なかっただけだと思います。たとえそうであったとしても、「この思想を公開の場で裁かなくてはならない」とするのは異常です。米国には既に、思想信条の自由というものは存在しないようです。

 裁判の形式で公開リンチをするというのも米国の得意技で、かつての東京裁判(極東国際軍事裁判)も同じ茶番劇でした。帝国陸海軍による戦争犯罪が存在したとしても、事後法で裁くのは前近代的で、裁判の名を借りた復讐劇に過ぎません。(東京裁判史観はその後の日本を呪縛しましたから、二度と盾突かせないという米国の目的は見事に果たされました)

 現在の米国は『1984年』そのものの世界で、「ビッグブラザー」によって支配されています。スノーデン氏はこの事実を世界に明らかにしましたが、今後の対応もそれを証するものとなることでしょう。

 米国が監視独裁国家なら、これに支配されている日本政府も同類で、自由を希求・尊重する国民にとって打倒すべき存在です。今まさにこの国は「ビッグブラザー」によって完全支配されようとしています。このタイミングでスノーデン氏が告発したのは天佑と言うべきで、アメポチ政権を瓦解させ、二度と復活しないよう封じ込める必要があります。