[工芸]押し花に新しい命を吹き込む(庄村昌子)

今朝4時台のNHKラジオ深夜便の「押し花」の話には、耳をダンボのようにして聞き入ってしまった。


〔明日へのことば〕
押し花に新しい命を吹き込む
押し花作家 庄村昌子


庄村晶子さんの押し花は、通常の押し花のように花の色がセピア色に退色することはなく、いつまでも咲いている姿が保持される。その秘密は「蕾(つぼみ)」にある。

花が開花する直前の蕾の段階で花をいったん分解し、咲いた状態を再構成しながら作品化してガラス板で押す。この方法によって、劣化や退色を防止する。10年かけてこの技法を開発した。

花の生命を保持する画期的な方法らしい。

これは押し花というよりも、花に新たな命を吹き込む作業だ。修行僧のような気の遠くなるような作業。これをほとんど毎日休みなく繰り返す。1年350日は花々と対話しながらの創作の日々。

驚くべきことに、庄村さんは花々と話ができるらしい。作業を始めるまえに、「押し花にしていい?」と花にきく。「いいよ」と言った花を押し花にする。

(以下の写真はネットからお借りした画像です。深謝。)


群馬県に1200坪の花畑があり、川崎の自宅から2時間半かけて通う。ひと月の半分くらいはこの農園で作業をする。

ルーブル美術館に出展されて印象派賞受賞したこともある。世界中の押し花作家が驚嘆した。日本人てすばらしい。


これは、花の命を大切にする、日本人にしかできない繊細なアートである。

庄村昌子さんは岩手県大槌町出身。大槌町は3.11の津波攻撃で流された町だ。避難所になった老人ホームに以前庄村さんが寄贈した押し花の額が残されていた。まるで生きているような押し花作品。ここに避難した庄村さんのお姉さんがこれを発見して、一緒に避難した人々と抱き合いながら涙を流した。

この話を聞いたとき、ぼくも枕を濡らしてしまった。