川上貞奴の旧別荘(晩松園)


姪っ子の結婚式は木曽川沿いの広大な敷地にある川上貞奴の旧別荘(晩松園)で行われた。

式が始まる前に別荘内部を見せてもらった。普段は見学者が見られないところまでバッチリ。


川上 貞奴(かわかみ さだやっこ)は1871年生まれ。日本初の「女優」として有名。

日本橋越後屋の子供として生まれたが没落後、芸妓の道へ。美貌と日本舞踊の才能により当時の明治の元勲に贔屓にされて日本一の芸妓となったが、活動家兼演劇家・川上音二郎との出会いで人生が劇的に変わって、日本初の女優へと転身。波瀾万丈の人生。

でもそんな貞奴さんが晩年選んだ場所がここ。木曽川のすぐ側の地。

南部鉄の瓦で葺かれた屋根はめずらしい。数奇屋風、洋風、中国風、萱葺き民家風の建物などが組み合わされたちょっと遊び心あふれる建物だ。
ホタルが毎年飛ぶ小川と小さな池もあった(これはいい、欲しい!!)。
などなど、心ある大工さんや建築家だったら涎を流して魅せられるような建造物。(実際、大工である新郎は一目見てここで結婚式を挙げることを決めたらしい。)


当時そのままに保存されているのもすごい。



笙とひちりきの音で始まった神道による厳粛な結婚の儀が始まる頃には雨脚は激しくなった。雨音を聞きながらの神事。


雨もまたいい。長い冬から目ざめる生命にとってはめぐみの雨。春の慈雨は結婚式にこそふさわしい。


姪っ子の新婦は小学校の先生。
剣道で鍛えた心と体に優しさを兼ねそなえた美人先生は生徒からも慕われ一目置かれている。

一方の新郎は、男性を見る目が超厳しい姪っ子がぞっこんになるほどの、最近めっきり少なくなった職人魂と気骨ある大工さん。まだ若いけれど豊富な知識と好奇心旺盛なハイパーこだわり職人。気に入らない仕事はやんわりと断る度胸もあるとか。

新郎は人類の家族を育むために最も重要な家という器をつくる仕事。
新婦は小学生の人格という「人間の器」をつくる仕事。

いずれも大切なものを「つくる」仕事にたずさわるこの二人の組み合わせは、最高のカップルじゃね。


ほんとうにおめでとう。心に残るいい結婚式でした。幸せになってね。



【参照】
川上貞奴
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E4%B8%8A%E8%B2%9E%E5%A5%B4

●晩松園
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%A9%E6%9D%BE%E5%9C%92