日本の素材・部品産業は盤石である

先日出た週刊東洋経済「素材革命」がおもしろい。元気が湧いてきます。日本の未来は明るい。

最近、日本の製造業は落ち込んでいるという暗いニュースが多い。特に電機メーカーの業績は悪化がひどい。パナソニック9000億円、シャープ3000億円、ソニー2200億円・・・巨大な赤字。

しかし一方で、東レクラレ日本触媒浜松ホトニクスといった素材・部品メーカーは今期最高益。

日本の素材・部品産業は盤石だ。他国の追随を許さない。

たとえば、製品としての液晶ディスプレーの日本企業シェアはわずか11%。しかし、ディスプレーをつくるのに必須材料である偏光板、配光膜、カラーレジスト材料などのシェアは60%〜100%と日本の独占状態なのだ。

また、製品としての半導体の日本シェアは最近落ち込んで26%程度だが、半導体製造に必要なフォトレジスト99%、シリコンウエハ70%と材料でのシェアは圧倒的。

最近は韓国が頑張っているといっても、素材・部品産業の対日本貿易収支は、227億ドルの赤字だ。この対日赤字は2005年以降拡大傾向にある。しょせん韓国は日本製部品・素材を使ったアセンブリー(組み立て)産業で儲けてるってことか。

ところで、工業用素材の研究開発はけっこう大変なのです。発明打ち合わせのときにいつも感じる。徹夜明けの技術者と打ち合わせをしたことが何度かある。

素材産業には、日本人特有の精緻で妥協を許さず、どこまでもいいものを追求する技術文化が息づいている。

誠実で粘り強い国民性が日本の高い技術力の源泉である、とは東レ社長の日覚昭廣氏のことば。東レ炭素繊維材料の研究開発でもトップを走っている。

技術文化の違いの故に、他国はこれを容易にコピーすることはできないのだろう。

東レユニクロの共同開発による冬用機能性肌着ヒートテックは、製品化に至るまでに1万回以上試作を繰り返したという。4種類の繊維の組み合わせ技術。

普通は100回やってダメならあきらめる。短期に利益を求める欧米企業では素材の技術は育たないのだ。



さらに、この記事では書かれていないけれど、日本の高い技術力の源泉には、技術に対する「美意識」があるはず。たとえば、日本刀に具現化されているような。

(本題から外れるけれど、技術文化における美意識の問題はとても興味深いものがある。)


素材が変われば世の中は変わる(日覚昭廣社長)。


世界的に高いシェアを誇る日本の素材・部品メーカーの活躍をみると、日本の技術力が世界の産業を支えていると言ってもいい。

一昨日のリチャード・コシミズ氏の豊橋でのレクチャーでも触れられていたけれど、中国や韓国の企業がいくら頑張っているといっても、しょせんは日本製の部品・素材をアセンブリーしているだけなのだ。

アップルのiPadの例が典型的だ。


iPadに使われている部品や素材、それから製造段階で使用される真空技術など、これらのほとんどは日本製であり日本の技術。だから、日本の素材技術がなければアップルの製品は成立し得ないのだ。


素材が変われば世の中は変わる(日覚昭廣・東レ社長のことば)。


この調子で頑張れ日本の技術者たちよ!!

すぐれた技術の故郷(ふるさと)ニッポン万歳!

真のものづくり大国ニッポン万歳!


なーんて、ちょっと技術ナショナリストになっちまった(・。・)ぷっ♪



【再録】
●日本製部品なしにアップルは生きられない。
http://richardkoshimizu.at.webry.info/201201/article_70.html

アップルのヒット商品、日本製部品が多数使用され、「日本を代表するメーカーが部品の供給元としてアップルのヒット商品を支えている実態」が判明。所詮は、日本の技術なしに世界は立ち行かないのですね。

ユダ米が経済崩壊したら、米企業ではなく我々自身が日本製部品でもっといいものを次々と世に送り出しましょう。

●アップルの商品に日本製部品 1月14日17時13分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120114/t10015267801000.html

アメリカのIT企業アップルは、スマートフォンタブレット端末など主力商品の部品を生産する取引先企業156社を初めて公表し、日本を代表するメーカーが、部品の供給元としてアップルのヒット商品を支えている実態が明らかになりました。

アップルは13日、スマートフォンのiPhoneやタブレット端末のiPadなど主力商品の部品を生産する取引先企業156社を初めて公表しました。
アメリカや韓国の企業に加えて、日本のソニーパナソニック東芝、NEC、シャープなど大手電機メーカーが軒並み名前を連ねています。また、携帯端末向けのコイルなどを製造する「スミダコーポレーション」や水晶振動子と呼ばれる電子部品を手がける「大真空」など特定の分野で高い技術を持つ日本企業もリストに含まれています。アップルはこれまで取引先企業をほとんど公表しておらず、部品の調達網はベールに包まれていましたが、今回初めて公開されたリストからは、日本を代表するメーカーが部品の供給元としてアップルのヒット商品を支えている実態が明らかになりました。