風の彫刻家、新宮晋


今日はTPPの話を書こうと思っていたけれど、急遽変更して風の彫刻家の話にする。

今朝のNHK日曜美術館の新宮晋(しんぐう・すすむ)特集に魅入ってしまったからだ。ビリビリッと来た。

新宮さんは、現在、三田市にアトリエを構えている。1937年大阪府豊中市に生まれ。東京芸大を卒業後、イタリア政府奨学生としてイタリアに移り住み、ローマ国立美術学校で絵画を学んだあと、動く彫刻家へと興味の対象を変化させていった。絵本もたくさん作られている。

抽象画家から立体造形へ、さらに風や水の作用で動く彫刻家へと変貌していった。平面→立体→動く造形への興味の対象の変化がおもしろい。そして、最近はアートの源泉である技術へと向かっているように思った。

中村佳子さんの「地球は水の星であるともに風の星であることを、新宮さんは教えてくれた」という話や梅原猛氏のコメントもよかった。

特に、番組でも紹介されていた最近のブリージング・アース・プロジェクトに興味がある。アートとしての風力発電という発想がおもしろい。とりあえず経済性は度外視して、「美しいアートとしての技術」という自然エネルギーだけで自立する村の構想。

技術と芸術の統合、というと大げさかもしれないけれど、もともと本来の技術はアートであった。英語のartは「芸術」という意味ととともに「技術」の意味もある。(特許の世界では「従来技術」をprior artという。)
弊ブログ的には、新宮晋さんが、現代芸術の先端からさらに「技術の起源」にさかのぼろうとしている点に興味があります。

このプロジェクトで実際に制作された風車は微風でも回って発電することができる(回転を増幅するメカニズムあり)。音も静か。以下のサイトに紹介されている。

● NPO法人「風」より
http://kaze-net.jp/npo//article.php/20091127141136346

Breathing Earth
ブリージング・アース「呼吸する大地」

 風力や太陽光の自然エネルギーで自立する村 ブリージング・アース「呼吸する大地」は、風や水といった自然エネルギーだけで動く彫刻を作り続けているアーティスト新宮晋が計画しているプロジェクトです。ここでは、自然エネルギーを生かし、有機農業の開発をしながら、天文・海洋学者・技術者・芸術家・教育者等が協同して、私たちの星の自然環境を守り、未来へとつなぐために、具体的な研究をしていきます。
 また地域の子供たちを中心に、世界中の子供たちを招いて、農業や野外観察、絵や造形の実践学習や発表を行います。そして野外劇場では、ここで生まれた、ここでしか体験出来ないオリジナルな舞台芸術やコンサートなど、ユニークな催しを定期的に公演し、世界に発信していきます。
 独特の美しい発電風車がいつも回っている村 ブリージング・アース では、風・太陽・大地・雨・海といった私たちの地球の自然の全ての要素が、宇宙と一体になり訪問者を迎えてくれます。(新宮晋)


●動く彫刻 造形作家 新宮晋
http://www.youtube.com/watch?v=BTYhhWA-KXk