太陽を浴びれば、医者はいらない(宇都宮光明)


太陽光(紫外線)を忌避する傾向が拡がっている。この風潮は15年ほど前の美白ブームと関係している。

驚くべきことには、ある幼稚園や保育園では園児達を日光から完全に遮断するために建物から一歩もださないことにしたというのだ。親達が幼稚園に申し入れたらしい。そのニュースがこの本を書くきっかけだったらしい。

紫外線は体に悪い、皮膚ガンになる・・などという紫外線恐怖パニックを煽る親達がいるのだ。

これは何かに似ている。

そうです、低線量放射能パニックを煽る親達にとてもよく似ている。放射能は低線量であろうと何であろうと全て体に悪い・・という迷信。

地球上の生命は、30億年の間、太陽光と放射線のなかで進化してきた。

牛乳1リットル中に約50ベクレルの放射性物質カリウム40)が含まれている。放射能パニックを煽る人々は牛乳を飲まない運動を起こすべきではないだろうか。日本中のラドン温泉や岩盤浴をすぐに閉鎖するよう要求するデモを起こすべきではないだろうか。

天然の放射性物質だから大丈夫だというのだろうか。天然物と人工物で違いがあるというのだろうか。天然でも養殖でもウナギはウナギ。

話がずれた。

太陽光線が人体にもたらす最もすぐれた効果は、ビタミンDの生成。太陽光(紫外線)を十分に浴びることによって体内にビタミンDが生じる。そして、生成したビタミンDは小腸粘膜上皮細胞に作用して、カルシウムの吸収に不可欠なビタミン依存性カルシウム結合蛋白を生成する。

逆に太陽光を浴びないとどうなるか?

太陽光を浴びない→ビタミンD不足→食事やサプリでカルシウムを摂取しても体内にカルシウムが吸収されない→身体は「カルシウムが足りない」と判断して骨からどんどんカルシウムを細胞内に放出する→骨粗鬆症や骨軟化症になる

これが「カルシウムパラドックス」と呼ばれる現象。

さらに、ビタミンD不足はさまざまな異常を引き起こす。高血圧、動脈硬化、糖尿病、免疫異常、悪性腫瘍(癌)・・これらが上述したカルシウムパラドックスによって引き起こされるというのだ。

カルシウムを食事やサプリメントで摂ってもあまり意味がないということ。太陽光に浴びないとまったく意味がないということは重要。

若者達が切れやすくなったりイライラするのはカルシウムが不足しているから、というのは正確ではない。太陽光を浴びない→ビタミンD不足、これが本当の理由。

太陽の日照時間が少ないと大腸癌になりやすいという研究報告もある(P127)。2002年のアメリカの医学雑誌「キャンサー」では、グラント博士の研究で、紫外線と癌発生率の関係が報告されており、日照時間が短い地域は、十分に紫外線を浴びている地域に比べてガンによる死亡率が約2倍とのこと。

皮膚ガンで死んだ人はいないのに、どうして紫外線を避ける必要があるのだろうか。ビタミンDはガン抑制効果があるのに。迷信は恐ろしい。

この話は放射線ホルミシス効果によるガン抑制の話によく似ているなぁ。

太陽光は副作用なしの万能薬であると宇都宮先生は言う。短時間の日光浴はほとんど意味がないらしい。

少なくとも週に一度、天気の良い日に30分たっぷり太陽光を浴びよう。日焼けを恐れて太陽光線を避けていると、いずれ寝たきりになるかもしれない。

そして、我々地球上の生物は、太陽光や放射線とともに進化してきた事実を忘れないようにしよう。

太陽を浴びれば、医者はいらない

太陽を浴びれば、医者はいらない