科学史学会(つづき)

昨日につづいて今日も激しい雨の中を駒場まで。

以下、今日の収穫メモ。
●植民地期、朝鮮人科学者の動向と活動について(任正嚇)
 日本の統治時代にすぐれた朝鮮人科学者が多数いたのですね。任先生が書かれた本を読んでみたい。

●熱核融合開発の推進と官産学複合体の形成(石垣勝)
 熱核融合は実用化が不可能でエネルギー源としては利用価値がない。しかし産業界にとってはとてもメリットがある。1000億円規模の「仕事」受注で潤っている。
 この巨大なお金の100分の1でもいいから常温固体核融合の研究開発に回せないか?
●コールダーホール型原子炉導入における日英関係(奥田謙造)
 米国の原子力技術を導入する前に、英国の原子力技術を導入しようとしていた時期があったようだ。正力さんと中曽根さん。湯川秀樹はどう考えていたのか。
●冷戦初期の米国における国防研究開発委員会の活動について(栗原岳史)
 米国の軍産複合体の起源と由来がわかった。科学と技術に名をかりた恐ろしい世界があったのですね。

アインシュタイン来日時おける石原純との共同研究(我孫子誠也)
 アインシュタインが1922年(大正11年)に来日したときの石原純との電気力学的エネルギー・テンソル理論に関するやりとりの顛末。

●マイケル・ポランニーの科学研究(古谷紳太郎・中島秀人)
 今日一番聞きたかった講義。暗黙知理論をライフワークとした物理化学者。ちょっとユニークな天才。「科学者」という枠に収まりきらない巨人。日本の化学者にも大きな影響を与えた(堀内寿郎、岡本剛大塚明郎、児玉信次郎)。マイケル・ポランニーの暗黙知理論は長年気になっている。

(以下つづく)