住友化学の蚊帳

今の日本ではほとんど使われなくなった蚊帳。昔は、夏といえば蚊帳だった。遠い昔がなつかしい。夏になると蚊帳を吊ってもらって、蚊帳の中で過ごす真夏の夜の幼い日々の思い出。

今アフリカで日本の技術が導入された蚊帳が活躍している。

最近、副島隆彦氏の講演DVDで住友化学がアフリカで展開している「蚊帳」の話を聞いて興味をひかれ、さっそく調べてみた。結論から言えば、これはすばらしい適正技術だ。日本の企業がこのようなすばらしい活動をアフリカでしていたとは。


この住友化学の蚊帳(オリセットネット)は、マラリアの防止に極めて効果がある。年間3億人がマラリアに感染し、100万人が死亡しているという。5歳以下の子供の犠牲者が多いそうだ。

この蚊帳は、従来のポリエステル製蚊帳と違い、ポリエチレン製で、糸が太く、耐久性がある。このポリエチレン繊維の中に、防虫剤を練り込んだ。これにおり、防虫成分は少しずつ(「コントロール・リリース」)、防虫効果が長期間(5年以上)持続する。


住友化学のサイトから、オリセットネットの技術的特徴は以下のとおり。

(1)使用保証期間は最低5年である―最近の調査では、多くの場合7年から8年使用可能であることが示されています。

(2)すぐに使用できる―処理は一切必要ありません。

(3)丈夫である―オリセット®は、ポリエステルネットよりも強く、破れにくいポリエチレンテクノロジーを駆使しています。

(4)洗濯ができる―オリセット®はWHO指定のLLINであり、20回洗濯しても効果は低下しません。

(5)風通しが良い―網目を広くすることで空気の流れが良くなるように作られています。

(6)徐放技術を用いている―ポリエステル蚊帳とは違い、オリセット®は殺虫剤を繊維内部に含んでおり、外側に薬剤がコーティングされてるわけではありません。この技術によって有効成分の徐放が可能になり、効果は5年以上持続します。

(7)蚊に対する4つの殺虫効果がある―刺咬防止、忌避、ノックダウン、殺虫。いずれも刺咬する蚊や他の昆虫から人々を守るのに役立ちます。

住友化学は、このオリセットネットの技術を現地の製造企業に無償で提供している。現地企業と合弁企業で進出しているタンザニアでの生産量は、年間1000万張り以上で順調に伸びている。単に製品やお金を提供しているのではない。重要なことは、現地の企業を巻き込んで現地の人々が製造に関与していること。この技術で雇用を創り出していることだ。地産地消サステイナブルな技術にしたところがすごいのだ。


これこそ適正技術。クールな技術だ。ノーベル化学賞に値する。僕は住友化学とは利害関係は全くありませんが、この日本企業は本当にいいことしているなあと思います。このプロジェクトを立ち上げた人はノーベル平和賞に値する。この技術は、米タイム誌(2004年)の「世界で一番クールな技術」にも選ばれたらしい。

住友化学のアフリカ支援のサイトは以下。

http://www.sumitomo-chem.co.jp/csr/africa/index.html