- 作者: 岩澤信夫
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2010/04/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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岩澤信夫さんの「究極の田んぼ」を読む。福岡正信氏を継ぐ本物だと確信した。素晴らしい本だ。
田んぼを耕すことなく、しかも農薬や化学肥料を使わないで多収穫で病気にも強いイネを作ることに成功した男の記録。不耕起(耕さないこと)によって自然から受ける恩恵ははかりしれない。岩澤信夫さんは長年のイネ作りの実験と工夫によってこの方法にたどり着いたのだ。
具体的には、不耕起移植栽培(直播きではなく苗を育てて移植する)と冬期湛水農法(冬に田んぼに水を張る)を組み合わせた農法である。
この自然農法によれば、田んぼが生物たちの薬園となり、イネはより自然に豊かかつ強く成長するのだ。農協が指導する慣行農法に比べてイネの根の張り方が違う。収穫量も多くなり、おいしくなる。
田んぼにはメダカやタニシやカエルやドジョウたち、そして植物プランクトンが繁殖して生物の楽園状態。
特に注目すべきは、不耕起・冬期湛水の田んぼにはイトミミズが繁殖して天然の肥料を生産してくれるのだ。イトミミズの排泄物が堆積してトロトロ層を形成し、これが雑草の発芽を抑制するので除草剤が不要になるのだ。
驚異のイトミミズ!!
さらにこの田んぼにはすぐれた浄水能力がある。岩澤さんは、有機栽培と農薬使用による水汚染の問題を指摘する。現在の慣行農法による田んぼは環境汚染源になっているのだ。これに対して、岩澤さんの田んぼは、水の浄水場の機能を果たすのだ。まさに究極の田んぼ!
ではどうしてこんなに素晴らしい自然農法によるイネ作りが広まらないのだろうか?日本の様々な制度上の制限や利権による障害、農家と消費者の自然農法に対する無理解などなどが複雑に絡み合っているのだろう。
しかし、岩澤信夫さんは、19993年に「日本不耕起栽培普及会」を設立し、その実践、教育と普及活動を続けられている。日本不耕起栽培普及会のサイトは以下。