中村哲×大澤真幸

大澤真幸THINKING「O」創刊号


この雑誌を書店で手に取り、アフガニスタンで医師として活躍している中村哲氏と社会学者である大澤真幸氏との対談をパラパラ読んで、「日本人医師がアフガニスタンで用水路を作る」という内容に思わず引き込まれる。大変おもしろい。刺激を受ける。巻末に掲載された大澤氏の中村氏の活動を巡る社会学的洞察もおもしろい。

医師でありながらアフガニスタンの砂漠の旱魃地帯に井戸を掘り、用水路を完成させた。どうしてこんなことが可能になったのか。現地人にできなかったことが、どうして日本人のしかも医師に可能だったのか。ことは単純な話ではない。大澤教授がこれを独特の観点から社会学的に考察する。ここに「連帯」のあたらしいかたちがある。

古代ローマ水道→江戸の上水道玉川上水)→新倉掘り抜き(富士吉田市)、と用水路や上水道への興味がアフガニスタンの用水路へと水脈のようにつながった。

中村哲氏の本をいくつかアマゾンで注文。

「アフガンに命の水を」というDVDも出ている。これも注文。以下、このDVDについてのコメント。

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アフガン東部・ニングラハル州。数年前まで荒れ果てていた大地が、今、豊な麦畑に変わろうとしている。荒れ野を麦畑に変えたのは一本の用水路からの水だ。そして、その用水路の建設に当たったのは数十人の日本人と延べ60万人のアフガン農民たち。

建設の陣頭に立って来たのは日本人医師・中村哲さんだ。中村さんは医師でありながら、干ばつで荒廃した農業を復活させようと、用水路の建設に邁進してきた。完成すれば、およそ3000ヘクタールの緑が甦るという。着工から6年。数々の困難を乗り越えこの夏、完成予定だ。一部通水を始めた水で緑も甦り始めた。しかし、一方で米軍と地元武装勢力の衝突は激しさを増し、空爆による被害者も後を絶たない。干ばつと戦乱で疲弊していくアフガンの人々を尻目に、未だ国際社会は“テロとの戦い”に固執し、軍隊の増派も進められている。だが、中村はアフガンの状況をこう喝破する。「ここで起きていることは政治の問題ではなく“パンと水の問題”だ。アフガンに必要なのは農業ができる環境であって、軍隊ではない」と。

国際社会が“アフガン問題”を巡り議論を繰り返す裏で、戦乱と干ばつは日々深刻さを増し、一刻の猶予もない状態だ。中村医師は渾身の力でこの状況と戦っている。泥沼化するアフガン問題への一つの“解”を示すために。
企画:ペシャワール会
制作:日本電波ニュース社
DVD 56分  価格 2625円(送料別)

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