仕事帰りにジュンク堂のトークセッションに行く。今日は富山和子さん。
富田和子さんは1933年群馬県生まれ。立正大学名誉教授。日本のレイチェル・カーソンと呼ばれている。水問題を森林林業の問題にまで深め、「水田はダムである」の理論が有名。水と緑と土の総合的な研究は「富山学」とも呼ばれる。
77歳のご高齢でありながら小柄でオシャレな女性。レクチャーの間は用意された椅子には座らず、ずっと立ったまま話をされた。ダンスをしているので椅子に座る方が苦痛とおっしゃっていた。どこにこんなパワーを秘めているのか。
今日のテーマは、「海の青から考える私たちの環境問題」。しかし話は海に限らず、海→水→土→森林→川の関連から、数億年の地球のタイムスパンに及ぶ。そして日本の水土と森林文化。
水と土と緑が同義語であること、このことをわかりやすく説く。
話に引き込まれてビリビリと来た。以下覚え書きメモ。
・弥生時代から日本の森林文化を育て守っているのは山村。山村こそ重要だ。
・政策によって林業や山村が切り捨てられきたことはきわめて問題だ。(山村が崩壊すると都市も崩壊する)
・日本の林業が水と土をつくった。米が森林を養った。一つの水系が3つの分野(林業と農業と水産業)で完結している。
・水は土の産物である。そして土だけが汚物を処理できる。
・意外なことだが、土は人間の労働の産物である。
・自然を守ることは、実は自然を活用することだ。
・現在、森林が崩壊している原因は、木を切っていないからだ。
・日本は世界最古の保安林文化の国だ。
・土は海からの贈り物、森は海へのお返し
・縄文・弥生の時代から日本人は日本列島のことをすべてくまなく知り尽くしていた。その証拠がある。たとえば、僧行基の地図。尾根道の文化(この話にはゾクゾクした)。
富山先生の話は技術人類学の観点からもおもしろかった。