4時頃目が覚めてNHKのラジオ深夜便を聞く。今朝のインタビューは、三砂ちづるさん。今日は2回目のインタビュー。1回目は聞き逃した。

三砂は「みさご」と読む。津田塾の疫学(易学ではない)の先生。外国での調査研究生活も長い。特に各民族の女性の生態研究に詳しい。長年の研究の成果をふまえて、様々な提言もされている。

たとえば、女性は、適齢期になったら、結婚あるいはパートナーを見つけて子供を産むべし、といった真っ当な提言。あるいは、日本の女性はキモノを着るべし。この至極真っ当な意見は、フェミニズムの活動家たちからは評判が悪いらしい。


赤ちゃんのオムツの話がおもしろかった。

アメリカ女性の人類学者がアフリカで調査をしていたときの話。

アフリカのなんとか族の赤ちゃんはオムツをしていない。オムツをしていなくても、その時が近づくと、ちゃんと察知して、赤ちゃんを便器の上につり下げて用を済ませる。よってオムツは必要ない。

その女流人類学者がそのアフリカ人の母親に、「どうして分かるのか」と訊くと、逆にその母親が言った。

「あなたは、自分がおしっこをしたいときが分からないの?」

アフリカでは母親と赤ちゃんとは一身同体なのだ。あるいは、母親は赤ちゃんの微妙な表情の変化や様子を無意識的に察知しているということ。

三砂先生は、紙おむつをしない育児、あるいはオムツが早くとれる自然育児のグループを立ち上げて実践的に活動もされているらしい。

現代の育児では、3歳になってもオムツがとれない子が増えている。ところが、使い捨てのオムツが普及する前の昔の日本では、布のオムツが使われ、しかも2ヶ月くらいでオムツがとれる育児法があたりまえだったのだ。

高分子吸収剤の発明のおかげで、親の育児は便利になったが、赤ちゃんの生育には悪影響があるのではないか。今後の研究成果に期待したい。


キモノの話もおもしろかった。

三砂先生はいつもキモノを着ているらしい。キモノは日本の風土や日本人の身体構造や体型にとって極めて合理的な衣服であり、日本人は長い時間をかけてこのきめの細かい技術文化を開発して培ってきた。この技術文化は大切に守っていかなくてはいけないのではないだろうか。

西洋人に対して日本の女性は華奢な体型。キモノはこの華奢な身体をシャキッと生体力学的に補強し、女性の体をより美しく見せる技術文化なのだ。

あるいは、キモノは、畳に座る生活習慣(座の文化)とも合致する。

日本人はキモノを着るべし。この主張は、身体技法(マルセル・モース)の観点からも興味深い。