早朝4時過ぎに目が覚める。NHKのラジオ深夜便の対談を聞く。この番組は毎日楽しみ。
今日は、キャノンのハケン社員だったときの映画を自ら撮った26歳の若者のはなし。なかなかおもしろい。
「遭難フリーター」という最近話題になった映画。ハケンの仕事の実態に迫るドキュメンタリー。各地で自主上映しているらしい。見てみたい。
チャップリンのモダンタイムスのような単調な機械的労働を強いられ、食べて寝るだけの最低限の生活のサイクル。このサイクルから抜け出すことは容易ではない、という話。
まっとうな正社員の大人たちから見れば、そのような仕事を選んだ自分が悪い、という論になり、一方、社会こそが悪いという論が対立する。
しかしこの若者は、自分が悪い(自己責任論)、社会が悪い、という対立する議論は不毛ではないか、出口が見えない、とふと漏らす。かといって、原因はなにか、どうすればいいのか、はよく分からないと正直に言っていたのが印象的。
まるでカフカの小説のような世界。
あるいはハイデガーのいう「自己運動する動的構造体」に奉仕する近代世界の人間像。
あるいはオートポイエーシス的なシステムに取り込まれる話。
まっとうな大人たちも、あるいは、何か得体の知れないサイクルの円環構造の運動に取り込まれているだけではないか、とふと思った。