人類学者の川田順造氏による講演を聴く。川田氏の貴重なコレクションも拝見。特にアフリカのひょうたんの容器は秀逸。
議題は、「ヒトとモノのかかわり合い方について考える」。
川田順造氏は現在もっとも注目すべき人類学者のひとり。レヴィ・ストロースの愛弟子。73歳とはとても思えない、ダンディーでエネルギーを感じる学者。すぐれた意味で魅力的である。
川田氏は現在、ヒトとモノのかかわり合い方についての原論をまとめられている。今年の3月と4月に新しい本がでるそうだ。たのしみ。
今日の話で興味深かったのは、「はかる」という方法。
川田氏は、世界をヒトにとって意味のなるものにする方法には2つあるという。
ひとつは「わけること」、つまり分析的方法。これは現在の科学的方法につながる。
もう一つは「はかること」。
「はかる」とはどういうことか。川田氏によると、「はかる」とは、既知のものを未知の対象に比喩的に当てはめることによって、未知の対象を既知のものに変える、または対象に別の意味を発見すること。これは詩的言語の役割と共通する。氏が長期間にわたってアフリカでフィールドワークしたモシ族の動詞にこの「はかる」があるということ。これは「わける」分析的手法とはまったく異なる方法。
この「はかること」の活性化が現代においてますます重要になる。