こぐこぐ自転車(伊藤礼)

こぐこぐ自転車

こぐこぐ自転車

 先日、書店の自転車コーナーに平積みされていたので読んでみた。おもしろい。伊藤礼氏は1933年生まれとあるから74歳。このお歳で、東京中、日本中を自転車で駆けめぐっている。すごいことです。碓氷峠に挑戦するくだりを今読んでいる。
 チャタレイ夫人の恋人の完訳をした人ということで、ググッてみると、伊藤礼氏は有名な小説家の伊藤整氏のご子息だったのだ。何年か前に読んだ伊藤整の「変容」(岩波文庫)は中年というか老年の恋愛を描いて秀逸。
 道理で文章がいい。普通の自転車エッセイの文章とはひと味違うのだ。ほのかなユーモア。良質の、抑制のきいた、ときどきニヤリとするユーモア。好きです。都内の某大学の英文科の教授だったらしい。
 読み進めるのがもったいない。気に入ったところに傍線や印をつけながら読む。