サルの石器使用

 昨日、某テレビ局のバラエティー番組を見ていたらサルの石器使用の場面が紹介されていた。アフリカのサル(種名は失念)が岩の上で堅い木の実に石をぶつけて割って実を食べていた。これは人間以外の動物の道具使用の事例としてちょっとビックリする映像ですが、よく考えると、はたしてそれほど特異な行動なのかとわからなくなる。
 たとえば、エジプトハゲワシという鳥は、石をくちばしでくわえてダチョウかなにかの堅い卵にぶつけて割って食べる。サルの石器使用はこれと同類ではないか。日本のカラスは道路に堅い木の実をわざと置いて、走ってくる車に轢かせて割ることが<文化>になっている。ミミズだって木の葉を穴ふさぎに巧妙に使用する。これはダーウィンが報告している。
 件のサルが石をクルミ割りに使用する行動は、エジプトハゲワシが石を卵にぶつける行為と本質的に同じであり、人間の道具使用とは決定的に異なる行為ではないか。サルは石に対して愛着やフェティシズムを感じることはおそらくないでしょう。人間は道具を単なる手段以上の美的対象物としてみている、この点が動物の道具使用と人間の技術活動の根本的な違いではないか。