ニコラス・ハンフリーの新刊

 ニコラス・ハンフリーの新刊「赤を見る」が出ていました。赤い装丁が美しい本(中垣信夫装丁)。以前からこの学者はマークしていました。1943年生まれの英国の認知科学者。一昨年の「喪失と獲得」以来の本。知覚と感覚がまったく経路も起源も異なること。このことは、すでに100年以上も前にベルクソンが「物質と記憶」において精緻に分析していたことだ。ベルクソンとこの本を交互に読むといい。ハンフリー博士は、感覚の起源とその進化の謎に迫りつつ、これが人間の自己意識の起源に関係していることをこの本で提示している。視覚機能が失われているにも拘わらず物が見えるという不思議な「盲視」という現象の解析から一気に意識の起源の謎に迫っていく。

赤を見る―感覚の進化と意識の存在理由

赤を見る―感覚の進化と意識の存在理由